Wednesday 11 September 2013

全米2013 DAY15でひとりごと

ついに迎えた大会最終日は、男子決勝一試合のみ。

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Day 15: Monday, September 9



Men's Singles - Final
Rafael Nadal (ESP) [2] def. Novak Djokovic (SRB) [1]
6-2 3-6 6-4 6-1

 
CropperCapture[226]男子シングルス決勝は、第2シードのラファエル・ナダルが第1シードのノバク・ジョコビッチを下してグランドスラム13回目、全米は2回目の優勝。



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ナダルの試合後の記者会見より。

(優勝おめでとう。試合の後あなたは地面に倒れこんだけど、その時の気持ちについて)「ありがとう。ああ、このシーズンは僕のキャリアでおそらく最も気持ちが揺さぶられるものだ。チャンスを掴むために全て正しい事をしたように感じた。だから、ノバクのような史上最高の選手の一人であるNo.1と、彼の一番好きなサーフェスでプレーすると、前にも話したように僕はほとんど完璧でなければならない。今日このトロフィーを獲れたことは大きな意味がある。ただ素晴らしい。とてもとてもハッピーで、実現のため助けてくれた全ての人にお礼を言いたい。僕には特別な瞬間だった。ファンのみんな、チームのみんな、家族のみんな、ありがとう」

(第3セットを取ったことについて)「僕にとっては重要なセットで特別だった。最初のゲームで立ち上がりが悪かったけど、第2ゲームの終わりと第3ゲームの初めはノバクのプレーが素晴らしかった。ノバクがあのレベルでプレーすると、止められる人はいないんじゃないか。1ブレークダウンだけで付いていくことが重要だと知っていた。二つ目のブレークを許すと第3セットは終わる。だから、ただ一球一球喰らいついて、全ての瞬間で集中して、自分に流れが来るのを待とうとした。1ブレークダウンならチャンスがあると知っていた。チャンスが来るのが普通。それを生かせるかどうかで、僕は生かした。その上であの0-40だ。あれは凄かった。僕は一本エースを決めた。信じられないフォアのダウン・ザ・ラインも決めた。あれが試合の鍵を握った場面だった。そして次のゲームのブレークも」

(半年以上ツアーを離れていたけど、この気持ちをまた味わうことをどのくらい待ち望んでいた?)「待ち望んでいたということはない。こんな事が起こるとは考えたこともなかった。ツアーに戻って競い合えることに興奮していた。でも、今年のような成績は考えていなかった。全てのマスターズ1000、グランドスラム二つ、もしくは三つ。だから、僕にとっては夢以上もので、全てにとても満足している。復帰してから起きた事はとても幸運だったと思う。僕が一生懸命したのは事実だけど、そうだとしても、今日僕がいる場所に来るためには運が必要だ」

(あなたは以前にもこの大会で優勝したことがある。前回と比べてあなたのプレーで変化や進化したところは?)「いつも同じ。誰かが勝っていたら、何か書かなくてはならないもの。そして、人は何か変わったのだと思う。でも、事実は僕がいいプレーをしているということだ。それだけでしょ?なぜなら僕はいいプレーをしているし、競争する気持ちを持ち続けられるし、誰が相手でもいつも勝つチャンスがある。以前よりアグレッシブにプレーしているのは確か。もっとコートの中、ベースラインの近くで、ポイントを取りに行っている。でもこれが可能なのは、僕がいいプレーをして自信を持っているから。大きな変化で言うと、僕には分からない。僕のプレーに大きく変わったところは本当に見当たらない。ただ自信だけ。ただ一つ言えるのは、僕がもっとコートの中に入って、アグレッシブに、正しい判断力を持ってプレーしているということ。でも、他のことは全ていつも通り」

(今日は会場の2万3000人全体があなたを応援していた。世界中でも何百万人もの人があなたを愛している。あなたを特別な人間にするものは何?)「その質問に答える人間として、僕は多分適切じゃない(笑)。僕が言えるのは、僕はフェアであろうとしているということ。誰にでも礼儀正しくあろうとしている。誰にでもフレンドリーであろうとしている。それだけ。コートでは僕はポジティブなプレーヤーだ。ネガティブなプレーヤーじゃない。常にベストを尽くそうとしている。上手く行っていようがいまいが、ひどく悲しくなったりはしないし、コートでネガティブな態度を取ったりはしない。コートの外では全員にサインしようとする。写真撮影にも応じる。普通の人間のように振舞う(笑)」

(グランドスラムで13回目の優勝。あなたより多く優勝しているのはピートとロジャーだけ。あなたにとってどんな意味を持つ?まだ27歳だけど、追いつけると思う?)「今を楽しませて(笑)。僕にとっては想像したり夢見た以上の数。まだそんなに優勝していなかった頃にも同じ事を言ったことがあるけど、それは本当。今回のは大きい。一つ言えるのは、いつも言っていることと同じ。これからも一生懸命頑張る。将来競うためのチャンスを掴むために大切なことをして、こういう大会で優勝するチャンスをもっと作っていく。僕がしようとしているのはそういう事。いつが始まりでいつが終わりか分からないけど、『13』は信じられない数だ」

(昨年までは誰もがあなたのことをクレーのスペシャリストだと思っていた。今はハードでも最高の選手の一人であることを示しているが、何か違いはある?)「いや、僕は6時間前もハードでいい選手だった。いいプレーヤーか悪いプレーヤーか、その事で僕のキャリアに大きな違いはない。試合があって、勝ったり負けたりする。そして、多くの人は僕のことをクレーのスペシャリストと言うのを知っているけど、それは事実だ。僕の多くの優勝はクレーでのもの。クレーでたくさん勝つから他が少なく見えるけど、僕はウィンブルドンで5回決勝に出ることができた。5回だよね?全米では3回。全豪では2回優勝した。あと、インディアンウェルズで3回と、他にもカナダの大会で3回優勝した」
 (でも、今年のように負けなしということはなかった)「心配しないで、負けるから(笑)。誰でも負ける」

(試合ではいくつかブレークポイントを握られたけど、戦略は何だった?)「ブレークポイントをプレーするのは戦略じゃない。その瞬間のフィーリングだ。その状況での少し直感的なもので、正しい判断力でプレーして、正しいオプションを選ぶこと。戦略じゃない。僕の意見だけど。それにノバクと対戦するのに、サーブで大した戦略は立てられない。僕はイズナーじゃないし、僕にはフリーポイントは取れない。ノバクはツアーでベストのリターンを持っている。僕が今まで見た中でベストの一人。とてもアグレッシブに深く返せるプレーヤーを前にした時、正しい決断を下すのは難しい。彼はどこからでもリターンウィナーが取れるから難しい。僕にはラッキーな瞬間がいくつかあった。それだけの事」

(あなたとノバクはこれで37回対戦して、オープン化以降では新記録。ノバクとのライバル関係について)「ノバクとプレーするのは難しいと思う。体力、メンタルの面でいつもとても厳しくて、とてもとてもハイレベルになるし、お互いを限界まで追い詰めるから。第1セットを6-2で取った時、自分では素晴らしいテニスをしていたと思うし、自分のプレーに大満足だった。椅子に座って『よし、また再スタートだ』と言った。自分がもう2セット同じレベルでプレーし続けられないと知っていたから。不可能だ。相手がいいプレーをし始める。自分はいくつかミスをする。試合を通してあのレベルを維持するのは無理だから。どちらかがこんな事をすれば、もう片方はいいプレーをする。レベルがとても似通っていると僕は思うから。僕たちのプレースタイルにそれほど違いはない。ロジャーと対戦する時の僕たちは少し違う。彼のスタイルは違う。(両腕を広げて)このくらい。ノバクとは(両腕を寄せて)このくらい。スタイルについて言えばね。だから、その事が試合をもっと、多分体力面で厳しいものにすると同時に、全てのポイントが似てくる。例えばロジャーと対戦する時は、違う種類のポイントになる。僕がノバクとするような長い長いラリーはない。だから、誰かがとてもいいプレーをしていれば、フェデラーに簡単に勝つチャンスはノバクと対戦する時よりもある。ポイントを取る明らかな方法が一つあるから。ノバクと僕では全てのポイントが戦いだ。全てのポイントが長いラリーで、全てのポイントがより戦略的だ。これはとてもきつい。だから、全ての試合は特別で、とてもきつい。でも同時に、(同じ高さを示して)こういうものがこの試合を特別にして、集中を少しでも維持して、重要なポイントで少しでもより決断力を持ってプレーできた方が勝者になる。今日の僕にはその感覚があった。2011年には彼は僕に勝っていた。7、8試合連続だったっけ?だから、その時の勢いと、どちらの選手がよりいいプレーをして気持ちがより安定しているか次第」

(あなたの来年の目標は?カレンダー・グランドスラム?)「いや、僕のチャレンジはいい感じでシーズンを終えること。いい感覚でプレーし続けて、シーズンの最後まで競い合える状態でいること。それから来シーズンに備える。今季は素晴らしかったから、トレーニングを続けて、競う機会を持てるようにするだけ。一年で4大会全てのグランドスラムで優勝するのは、今は誰でも無理だと思う。それが僕が感じていること。分からないけど、今はどの大会にもベストのプレーヤーがいるから、こういう大会で優勝するにはロジャー、ダビド、アンディー、ノバク相手に勝たなければならない。こういう選手は早いラウンドでは負けないから、その事が全ての大会で100%でいるのを不可能にする。少しでも低いレベルでプレーすれば、こういう選手には100%負ける。それだけ。僕の目標はプレーする機会を持ち続けて、楽しんで、元気でいること。それが一番重要なこと」

(あなたの話を聞いていると、ノバクを倒して優勝して得たトロフィーは少し特別なものになる?)「結局のところ、一番重要なのはトロフィーを手に入れること(笑)。それは事実。最後にキャリアを終えた時、思い出になるのは手元にあるもの。でもこの一瞬では、強い相手に勝つことは勝利をより特別なものにするのは本当。だからそれは事実だ。今僕にその質問をするなら、僕の答えはイエス。他の選手よりノバクのような強い選手に勝つほうがより特別だ。でも、決勝の相手は誰がいいかと聞かれれば、目の前にノバクはいてほしくない。それは事実。僕はベストを倒したがるような馬鹿な奴じゃない。ベストとは当たりたくない(笑)。楽な相手とプレーしたい」

(大会の初めにロジャーは、物事が上手く行っている時より行かない時の方がこの競技への愛情が重要になってくると話した。あなたも同じように感じる?)「ロジャー、ノバク、アンディー、そして僕がこの競技を愛していることは疑いようがない。僕たちはこのスポーツを愛している。そうでなければ、レギュラーになったり、何年もそこにいてプレーし続けたり、ハードなトレーニングを続けたり、勝つチャンスを持ち続けることは不可能だ。この特別な感情や情熱、競技への愛情がなければ無理だ。今日のトッププレーヤーはみんなこの競技への強い情熱を持っている。だからこそいつもトップにいられて、最後のラウンドまで戦い続けられるんだ」

(怪我をしている間、自分がもうプレーできないかもしれないと考えたことはあった?)「僕はポジティブな人間だ。だから、決してその事は考えなかった」

(インドア・スペシャリストになって、ツアー最終戦で優勝するチャンスはどのくらいあると思う?まだ優勝がないのは何故?)「ああ、それは僕がアンラッキーだと感じていることだ。僕が出たマスターズ・カップは全てインドアハードだった。僕にはいいプレーをするのが厳しいサーフェスだ。そんな話をする日じゃないけど、それは僕がフェアじゃないと感じていること。シーズン最後の大会の出場資格を得るために、8人の選手はアウトドア、インドア、ハード、アウトドアのハード、芝、クレーでプレーするのに、最終戦はどうして毎年毎年インドアハード?街の中であの時期プレーするにはインドアでなければならないのは理解できるとしても、どうして毎年違うサーフェスでプレーすることはできないの?毎年同じサーフェスにしないことで、全てのサーフェスで出場資格を得た選手全員に等しいチャンスを与えることになるかもしれない」

An interview with: RAFAEL NADAL | Interviews | News | 2013 US Open Official Site - A USTA Event

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ジョコビッチの試合後の記者会見より。

(第3セットのあなたほどのプレーをしてセットが取れなかった選手を見た覚えがない。どれくらい厳しかった?)「第3セットを落としたのは残念だった。たとえ、特に最初の4、5ゲームで主導権を握っていたのは自分だったと感じていたとしても。でも、全て僕が悪い。重要な場面のいくつかでフォアハンドのミスをしたし、すべきでない時に2回サーブを落とした。そして、セットカウントは2-1だ。その後彼はずっといいプレーをし始めて、僕はその失敗から回復できなかった」

(どのくらいがっかりしている?)「そうだな、全米の決勝、グランドスラムの決勝だから、結局は満足する必要がある。たとえ今日どうしても勝ちたかったとしても。でも、大事な局面で彼の方がいいプレーをしていたのは明らかで、だからこそ彼が勝利にふさわしい。彼を祝福して、僕は次に進む」

(第3セットの4-4で3つあったブレークポイントを逃したことがメンタル面で辛かった?)「0-40で流れが変わったようだった。第3セットの4オールで、彼はいいプレーをし始めた。いくつかのポイントでいいサーブを打った。そのポイントで僕は誤った感覚に陥って、何もしなかった。彼はミスをしなかった。彼はいいサーブを打った。ネットに出てきた。話したように、彼を誉めるしかない。第2セットの途中から第3セットの終わりまで流れは僕にあって、僕は目の前に出されたそのチャンスを理解して生かすべきだったのに、そうしなかった。結局僕は勝利にふさわしくなかった」

(負けてがっかりしているようだけど、今日繰り広げたハイレベルのプレーを認めることはできる?ファンはそれを気に入っていた。今は負けたことが辛すぎる?)「今はコートから戻ってきたばかりで、もちろん世界最高の、最も重要な大会の一つの決勝でナダルと対戦する機会を持てた事は評価できる。それは分かっている。でも、言うまでもなく負けてただがっかりしている。それがスポーツというもの。明日はまた別の日だ」

(あなたはグランドスラムで6回優勝しているが、ナダルの13回優勝をどう思う?)「27歳の人間がグランドスラムで13回優勝は信じられないものだ。彼がこれまでのキャリアで達成したことは、誰もが敬意を払うべきもの。その点について疑いの余地はない。前にも話したように、この競技をプレーした者の中で彼がベストのテニスプレーヤーの一人であることは間違いない。その、現時点での彼の業績と年齢を見ればね。まだ何年もプレーできるし、僕に言えるのはそれだけだ」

(ラファは準決勝の後、決勝ではあなたではなく楽な方と当たりたいと言った。あなたもそう思った?)「好きでもそうでなくても、受け入れなくてはならないチャレンジだ。それが僕の物の見方。僕はいつもポジティブな精神状態で一試合ずつ考えるようにしている。自分を今この瞬間に留めようとする。もちろん、全てのトップ選手がどんな勝ち上がり方をしているかはチェックする。でも、僕が主に集中するのは次の相手。それが僕が備えるもの。彼はドローの反対側の本命だったから、彼と決勝で対戦する可能性は高かったけど、それでも決まっていたわけじゃない。グランドスラムだから。僕や彼だけじゃない。全ての選手が高いモチベーションを持って、ベストのプレーをしようとする。結局僕たちは戦って、いいプレーヤーの方が勝った。それが全てだ」

(No.1のランキングで難しいのはどちら?ポイントを守る方?そうでない方)「僕に何が言える?彼は今年たくさん勝った。僕はまだランキングで世界No.1だけど、レースランキングでは彼はずっと上にいて、No.1として年を終えるチャンスは彼の方が高い。ほら、まだ大会はいくつかある。だから分からない。僕は中国の大会に備えるだけ」

An interview with: NOVAK DJOKOVIC | Interviews | News | 2013 US Open Official Site - A USTA Event

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女子優勝のセリーナ同様、今回の優勝で全米オープンシリーズのボーナス100万ドルとあわせて360万ドル(約3億5800万円)の賞金を獲得したナダル。しかし、その約半額は税金として差し引かれる運命だとか。

「大金だけど、それは本当の賞金じゃない」
「税金を払わないといけない。スペインでは今56(%)だったと思う」
「とにかく、大金だけど、半分以上(は税金)。その半分以下をユーロにするから」

今大会で生涯獲得賞金が5000万ドルを超えたセリーナは決勝後の記者会見で、

「誰かが50(百万ドル)を超えたって私に言ったけど、その半分はうちのサムおじさん(注: 米政府の意)に行くの。彼のこと大好きよ。いつも私のお金を半分あげるの」
「今までの人生で、自分で小切手を受け取ったことはないわ」
「私はお金のためにテニスをしてるんじゃない。グランドスラムが好きなの」
「父が私にテニスをさせたのはお金のためだったと思ってるけど、私は単純でおめでたいから、その事は考えたことがないわ」

Rafael Nadal, Serena Williams bemoan paying half of record $3.6 million prize money to tax man | News.com.au

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優勝から一夜明けた9日、セントラルパークでトロフィーをお披露目したセリーナ。



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こちらは同様に10日、取材を受けるナダル。

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去年の今頃は、いつとも知れぬナダルの復帰を待ちわびていた日々。それが一年経った今、ナダルがハードで負け知らずというのですから、何が起こるか分からないものですね。

終わってみれば、男女ともトップ2シードの決勝で第1シードが優勝、と特に波乱のない大会ではありましたが、個人的にはガスケとワウリンカのベスト4は嬉しいハプニングであり、今こうして書いていても「もしかして何かの勘違い?」と改めてドローを確認するほど。勘違いではありませんでした。良かった。

日本勢では奈良くるみ選手の初めての3R進出の他、プレーオフでグランドスラム予選初出場の17歳日比万葉選手や、同じく予選初出場の19歳尾﨑里紗選手の今後の活躍が楽しみです。尾﨑選手は今週予選から出場のウズベキスタン・タシュケントでツアー初の本戦入り。1Rでも同じ予選勝者のカテリナ・コズロワに勝って本戦も初勝利と好調。この後の日本の大会でも是非いいプレーを見せてほしい!

男子は今週末、デ杯ワールドグループ・プレーオフ、vs コロンビア戦の大一番。有明開催のデ杯は、会場が巨大なことも手伝っていつもお客の入りが心もとない印象がありますが、ヒラルド、ファジャを擁するコロンビアは強敵。お近くにお住まいの皆様もそうでない皆様も会場に駆けつけて、一丸となって日本チームを応援しましょう。きっといい試合になるはずです。



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